レベニューマネジメントのうえで知っておきたいRevPARの限界

レベニューマネジメントのうえで重要な指標は、レベニュー、ADR、稼働率等、多くあります。

数多くの指標の中でも、RevPAR (1日あたり販売可能客室数あたり客室売上)はレベニューマネージャーのKPIとして設定されていることが多く、RevPARを増大させることが、ホテルの業績、つまり利益の向上に寄与する、と考えているホテルも多いです。

もちろん、RevPARを増大させることは、ホテルの利益の向上に繋がる面もありますが、RevPARはあくまでホテルの業績を表す指標の一つに過ぎず、RevPARのみを追ってもホテルの利益は向上しません。

RevPARは客室売上のみを計算している

ホテルには、客室売上の他にも、食事や飲み物等、客室以外の様々な売上が存在します。

しかし、RevPARは客室売上のみを計算の対象としているため、当然のこと客室以外の売上を含まず、ホテル全体の売上や利益を評価するには不完全です。例を挙げて説明しましょう。

ここに、300室のシティホテルがあるとします。シティホテルですから、宿泊以外の飲食、ギフトショップ等、宿泊以外にも販売できる商品・サービスがあります。

このホテルの8月のADRは20,000円、稼働率は80%でした。8月のRevPARは、

20,000円×80%=16,000円 

となります。そして9月は、ADRが32,000円、稼働率は50%でした。9月のRevPARは、

32,000円×50%=16,000円

となり、8月、9月のRevPARは全く同じです。しかし、稼働率が高かった8月の方が滞在客数も多かったため、宿泊以外のホテル全体の総売上は大きかったでしょう。

また、8月は滞在客数が多かった分、必要な営業費用も大きく、ホテル全体の利益はかえって9月の方が大きかったかもしれません。

以上の様に、2つの月のRevPARが全く同じであったとしても、宿泊以外の売上や費用を計算に入れた場合、ホテル全体の売上や利益は異なるケースが多々あるのです。

RevPARをレベニューマネジメントのKPIとして設定する場合、客室売上の最大化のみを他の要素より最優先してしまう罠に陥らないよう、注意する必要があります。

RevPARのみを追求すると、客室を原価 (販売1室あたりに必要な費用)ギリギリで販売したり、原価を割り込む価格で販売してしまうリスクがあります。

費用がいくらであろうと、客室が販売されさえすれば、RevPARを押し上げるからです。

GOPPARをホテルの最重要KPIに設定する

RevPARに過度に依存すると、ホテルの利益を毀損する可能性があります。そこで、RevPARの様に売上のみを測る指標ではなく、利益を測る指標としてGOPPARに重きを置くホテルもあります。

GOPPARは、販売可能客室数1室あたりの営業利益であり、以下の計算式で表せます。

(ホテルそう事業収入-変動費用)÷ 販売可能客室総数 = GOPPAR

GOPPARは、以下の点でホテルの業績を表す指標として優れています。

1. 客室以外の売上を含む、ホテル全体の売上を評価できる

2. GOP計算に含まれる費用は、コントロール可能な変動費であり、ホテルの経営管理によって改善することができる

3. 販売可能客室総数を基に計算するため、販売客室数のみを基にした計算に比べ、ホテルの客室を最大限に活用できているかを把握できる

GOPPARを採用することで、稼働率やRevPARを上昇させるために、過度に低価格で客室を販売したり、OTAや旅行代理店に過度な手数料を支払い、ホテルの利益を圧迫することを避けられます。

また、ホテルの営業部門がRevPARのみを追求することで、飲食やハウスキーピング等、他の部門と対立すること等を避けることができます。

レベニューマネージャー、支配人の皆様においては、今後はレベニュー、稼働率、RevPAR等に加え、GOPPARも経営や評価の指標に採用することをお勧めします。

今回は主にRevPARについて解説しましたが、他にもレベニューマネジメントについて知りたい方はレベニューマネジメントとは何か?ノウハウを学びましょうをご覧ください。

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