ホテルの台湾インバウンド集客対策を解説します

日本のホテルにとって、台湾インバウンドのゲストは重要です。
リピーターが多く、日本のマナーを良く知っている場合が多い台湾のゲストを、もっと集客したいと考えているホテルも少なくないでしょう。

今回は、インバウンド集客の柱のひとつである、台湾インバウンドの集客対策を解説します。

台湾インバウンドの傾向・特徴

来日客数が多い

台湾は他国に比べ来日客の絶対数が多く、2019年の国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数の割合においては、1位の中国本土(全体の29%)に次ぐ2番目(13%)です。(観光庁:「宿泊旅行統計調査」より)

外国人別延べ宿泊者数
観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

台湾人が訪れる県として多いのは、東京(全体の16%)、沖縄(13%)、大阪(11%)、北海道(10%)、京都(6%)です。

沖縄は台湾と地理的にも近く、2019年当時は飛行機も便数が多かったため、身近な日本の観光地でした。

コロナ禍以降は便数が大幅に減少しましたが、2023年現在は便数が徐々に回復し、沖縄が台湾の旅行者でにぎわう日も近いです。

台湾は、2022年に1人あたりGDPで日本・韓国を抜いて東アジア1位になったとされ、国の豊かさが増すと共に海外旅行者も増加すると考えられます。

今後も、来日客の大きな割合を占める重要な国である続けるでしょう。

リピーター割合が高い

台湾の訪日客の大きな特徴が、リピーター割合が高いことです。
2019年の国籍・地域別の訪日リピーター数が一番多い国は台湾です。

国籍・地域別訪日リピーター数
観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

台湾は訪日リピーターの数が多いだけではなく、観光・レジャー目的の訪日客の19.4%が訪日回数10回を超える等、訪日ヘビーリピーターの割合も高いです。

リピーターが多いため、ホテルの滞在経験に満足していただく事で、2回目、3回目の宿泊につながることも期待できるため、ゲストの満足度を上げることが特に重要です。

女性が多い

女性が多いことも特徴です。
訪日回数別の傾向を見ても、訪日が初めてのゲストから、訪日回数10回以上のヘビーリピーターまで、いずれも男性より女性が多いです。

台湾ゲストの訪日回数と性年代
台湾ゲストの訪日回数と性年代:観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

台湾ゲストは女性が多い傾向にあるため、広告やおもてなしについても、女性をメインターゲットにすることが大切です。

女性に人気のインフルエンサーを活用した広告で集客し、女性に喜ばれるアメニティやインテリアでおもてなしする等、広告から接客までを連動させた施策をすることが大切です。

家族・親族と一緒に旅行をする

台湾の訪日客の同行者は、家族・親族が最も多いです。
家族・親族で大人数で来日するため、広い部屋を予約する傾向が多く、その分ADRも高い、ホテルにとってはありがたいゲストです。

台湾ゲストの訪日回数と同行者の割合
台湾ゲストの訪日回数と同行者の割合:観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

訪日回数が増加するにつれて、「自分ひとり」の割合も高くなっていますが、10回以上の訪日ゲストでも、45%以上は家族・親族と日本に来ています。

小さい子供や、高齢者にとっても快適に過ごせるホテルであることをアピールし、家族連れの予約を増やしていきましょう。

台湾インバウンドの集客対策

3カ月先の客室在庫に対する露出強化

台湾インバウンドの対策のひとつは、3カ月以上先の客室在庫に対して、プロモーションやクーポン、広告を使って露出強化していくことです。

台湾インバウンドは先行予約の動きが早く、3カ月以上先の客室も売れていくのです。

アジア各国のインバウンドの平均リードタイムは、韓国が約30日、香港が約70日程度に対し、台湾の平均的なリードタイムは約90日です。

つまり、5月のゴールデンウィークの頃には、8月の夏休みの予約が動いているのです。

この長いリードタイムは、先行予約を積み上げていきたいホテルにとってもありがたいので、各OTAや公式ホームページ、SNS等で3カ月先の在庫の露出を増やしていきましょう。

早割り90日×返金不可プラン等を作成し、割安感を演出しつつ、返金不可設定をすることで料金の取り漏れを防ぐ施策も有効です。

返金不可は厳しすぎるという場合は、「出発日30日前以降キャンセルは宿泊料金の50%をキャンセル料として支払う」等、チェックインが近づいた期日でキャンセル料が発生する設定にしておくのも良いでしょう。

広い部屋に対する露出強化

台湾ゲストは家族・親族同行の2名以上利用が多いため、ツインやトリプルといった比較的広い部屋に対する露出強化も効果的です。

広い部屋に対する露出強化は、主に海外OTAで実施できます。
具体的には、ターゲットを台湾のみに設定したうえで、特定の部屋に対してプロモーションをかける、広告商品を使用する等、「台湾限定×部屋」の2軸で絞った露出強化施策を実施しましょう。

広く高単価の部屋が、台湾ゲストの長いリードタイムによりチェックイン日の数カ月以上先から売れていけば、ホテルの収益としても大きく貢献するでしょう。

台湾のブログマーケティングの活用

台湾はブログ文化が根強く、旅行情報としても多くの人にブログが見られています。

2019年の観光庁による「外国人消費動向調査」でも、台湾ゲストの「出発前に得た旅行情報で役に立ったもの」として最も数が多いのは「個人のブログ」です。

台湾ゲストが出発前に得た旅行情報で役に立ったもの
台湾ゲストが出発前に得た旅行情報で役に立ったもの:観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

インフルエンサーと呼ばれる、影響力の強いブロガーに自社のホテルを紹介してもらうことができれば、台湾ゲストの認知度・予約数アップが期待できます。

台湾のブロガーにホテルを取り上げてもらうためには、ブロガーとのコネクションがある代理店に依頼する方法や、英語や台湾語が使える人が直接依頼する等の方法があります。

より多くの台湾ゲストに自社のホテルを知っていただくために、ブログ活用も考えてみましょう。

SNS

ホテルの集客手段としてすっかり定着したSNS。
台湾ゲストも旅行前にSNSをチェックして情報収集しています。

台湾で主流のSNSは、Facebook、Instagram、LINEで、日本で普及度の高いツイッターは利用者が多くありません。

また、SNSとはやや異なりますが、Youtubeも旅行前の情報収集に使われています。

SNS運用の手順としては、まずはFacebookやInstagramで公式アカウントを作成したうえで、写真や簡易な文章を台湾語に翻訳したうえで投稿しましょう。

翻訳は難しく感じるかもしれませんが、短文を日本語で作成し、Google翻訳等で台湾語に変更すれば、完ぺきではないものの十分に意味の伝わる文章を作成できます。

SNSは即効性のある施策ではありませんが、ビジュアルで訴求できるコンテンツをコツコツ続けていけば、費用を大きくかけずともフォロワーや閲覧数を増やし、予約につなげることができます。

紙のガイドブックや旅行雑誌への出稿

インターネットにメディアの主役を明け渡した紙メディア(雑誌やガイドブック等)ですが、台湾の訪日ゲストにとってはまだまだ主要な情報源のひとつです。

台湾ゲストが出発前に得た旅行情報で役に立ったもの
台湾ゲストが出発前に得た旅行情報で役に立ったもの:観光庁「宿泊旅行統計調査(2019)」より作成

特に、台湾の「墨刻出版社」が出版している「東京攻略」「京阪神攻略」等の「○○(地名)攻略」シリーズは、紙のガイドブックとして根強い人気があります。

この様な紙メディアは、スマホの電源が切れた際や、電波状況が悪いエリアでも使える等の理由で、台湾からの旅行者には重宝されています。

台湾の紙メディアの代理店となっている日本の会社もあり、ネット以外の集客経路として検討してみましょう。

今回は、ホテルの台湾インバウンド集客対策を解説しました。

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