ホテルのフロントから転職する方法や、面接の志望動機に盛り込むべき内容を解説します

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「ホテルのフロントを辞めたい。別の仕事にチャレンジしてみたいなあ」

ホテルのフロントとして働いている方であれば、一度は思ったことがあるかもしれません。

ホテルからの転職を成功させる方法や、おすすめの業界・転職先を解説します」の記事でも紹介しましたが、ホテル含む宿泊業の離職率は高く、厚生省の「雇用動向調査結果の概況」(平成30年)によると、「宿泊業,飲食サービス業」の平成30年の離職率は26.9%と、全産業の中で最高です。

特にフロントの仕事は、アルバイトや契約社員として働いている方も多く、人の出入りが激しいポジションです。

今回は、ホテルのフロントを辞めて転職を成功させる方法や、転職の面接における志望動機に盛り込むべき内容を解説します。

転職活動の前に考えるべきこと

具体的な転職先を決める前段階として、転職することで何を叶えたいのか、自分の目的と理想を整理することが大切です。

年収アップ、労働環境の改善、やりたかった仕事への挑戦・・・等々、転職によって達成したい目的や理想は人それぞれだと思います。
人によっては、年収アップと労働環境の改善を同時に叶えたい、と考えている方もいるでしょう。

ただ、自分の目的や理想が全て叶う業界・職場は無いので、自分が転職において優先すべき条件を、あらかじめ整理し、優先順位を決めておくことが大切です。

条件を整理した結果、転職ではなく「フロントから出世してホテルの別のポジションになる」という結論に至るのもアリだと思います。

「年収ダウンもやむを得ないが、規則正しい生活が送れる職場が良い」
「ホテルのフロントでは収入が低い。もっと高い給料がほしい」
「不特定多数の人からクレームを受ける仕事には疲れた。穏やかなお客様が多い仕事がしたい」

自分の中で譲れない目的を考え、それが叶えられる職場を、転職先候補として選ぶ様にしましょう。

ホテルのフロントが辛いあなたへ:転職することで解決できる悩み

ホテルのフロントで働く方は、以下の様な悩みや課題を抱えているケースが多いです。
転職することで、これらの悩みや課題を解決することができます。

不規則な生活や体力の消耗

ホテルのフロントは多くの場合、従業員が24時間常駐していることが原則です。
勤務形態によっては、今週は日勤、来週は夜勤等と業務時間の昼夜が頻繁に入れ替わることが多く、生活リズムも乱れがちです。

また、フロントは基本的に立ち仕事であり、デスクワークに比べると体力を消耗しやすく、深夜帯は特に体にこたえます。

20代の頃は体力的な問題も若さと気力で何とかなりますが、30歳を超えてくると、膝や腰が痛くなったりと、次第に体に悪影響が出てくる人もいます。

不特定多数の人から受けるクレーム

ホテルは、老若男女問わず様々な人が訪れる施設です。
多種多様なゲストとの出会いや、多くの人に気持ち良く滞在いただき感謝されることはフロント業務のやりがい・面白さではありますが、クレームを受ける事も多々あります。

客室に汚れがあった、朝食が美味しくない、隣の部屋の人がうるさい・・・等々、フロントの従業員に落ち度が全く無かったとしても、ゲストからのクレームの第一線に立たなくてはならないのが、フロント業務の辛いところです。

このクレームへの耐性は人によって大きな差があり、仕事なので仕方がないこと、と簡単に割り切れる人もいれば、受けたクレームを自分事として受け止めてしまい、なかなか立ち直れない人もいます。

低い年収

ホテルからの転職を成功させる方法や、おすすめの業界・転職先を解説します」や「ホテル年収ランキング~年収を上げたいホテルマンはご覧ください」の記事でも解説しましたが、残念ながらホテル業界は全体的に収入が低い業界です。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」の「主な産業、性、年齢階級別賃金及び年齢階級間賃金格差」によると、「宿泊業、飲食サービス業」の賃金は27万5千円であり、他の産業に比べて最も低いです(一番右の黄色棒グラフ)。

厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より作成

ホテル業界は、「部屋数に限りがあるため、増やせる売上に限界がある」「固定費が高い」「多くの人を雇う必要があり、一人当たりの給料を多く支払えない」といった、従業員の賃金が増えづらい構造になっているのです。

特にホテルのフロントは、アルバイトや契約社員といった非正規雇用で働いている方も多く、賃金が低くなりがちです。

賃金が低水準にあるのは、働いている個々人の能力の問題ではなく、業界の構造の問題であるため、ホテルのフロントから転職することで収入を増やせる可能性は大いにあるのです。

転職におけるホテルのフロント経験者の強み

ホテルのフロント経験者には、フロント業務で身に付けた他の仕事でも活かせる強みがあります。
以下の強みは転職活動のアピール材料になるでしょう。

ホテル業界やホテルの業務に知見がある

当然のことではありますが、ホテルのフロントとして働いていた人は、業界未経験者に比べホテル業界やホテルの業務内容に詳しいです。
そして、これらホテルに関する経験や知識は、転職に活かすことができます。

業界経験者として、ホテルの営業職として転職できる可能性もあり、旅行代理店等のホテルと密に関係がある業界へ転職している人もいます。

フロントは辞めたいけどホテル業界に留まりたい、という方にとっては、フロントで身につけたホテル経験は強みなります。

傾聴力

ホテルのフロントは、様々なゲストから要望やクレームを受ける立場です。
そのため、相手の話をしっかり聞くことで、ゲストが何を望んでいるか、何に困っているか・怒っているか等、相手の本当の気持ちを汲み取る傾聴力が仕事の中で鍛えられています。

この傾聴力は、コールセンターや営業職等、相手の話を聞くことで考えや気持ちを汲み取るスキルが必要な仕事で活かすことができます。

トラブル対応力

ホテルのフロントは、日々様々なトラブルに対応しています。
オーバーブッキング、客室や設備に関するトラブル、ゲスト同士の揉め事等、起こるトラブルの頻度や種類は様々であり、日常業務をこなしながらも各種のトラブルに素早く対応する必要があります。

そのため、ホテルのフロント、特に忙しい人気ホテルや最小限の人員で業務を回すホテルで働いていた人は、トラブルに迅速に対応するスキルが身についています。

このトラブル対応力は、ホテルと同様に短時間で多くのお客様に対応する必要があるサービス業や接客業で活かすことができます。

転職でおすすめの仕事

ここからは、ホテルのフロントを辞めて転職する場合の、おすすめの仕事を紹介します。
仕事を紹介してもらいやすい転職エージェント・転職サービスのリンクも併せ記載しますので、是非ご覧ください。

ホテル内の”フロント以外の”職種

フロントは辞めたいけれどホテル業界には留まりたい、と考えている方へのおすすめは、職種を変えることです。
これは、必ずしもホテルを変える必要は無く、社内異動にチャレンジするのもアリです。

ホテルの中でも、営業は日勤で夜間の仕事は殆どありませんし、ネット担当であればフロント兼務でない限り昼間の仕事がメインであり、規則正しい生活を送ることができます。

また、営業やネット担当はホテルの売上・利益にダイレクトに関わる仕事であるため、個人としての収入もフロントに比べ高めに設定されています。

ホテルは人手が常時不足しがちな業態であるため、フロントの従業員に辞められてしまうよりは、異動してもらった方が良い、と考えているホテルも多いものです。

もちろん、今のホテルからより良い環境のホテルで働きたい、という願望があれば、別のホテルのフロント以外の職種にチャレンジするのも良いでしょう。

ホテルのフロント担当者が、ホテルのネット担当や営業として採用されるケースは珍しくありません。

特に20代の若い方であれば、希望する職種の経験が無かったり浅かったりする場合でも、ポテンシャルを見込まれて採用される場合もあります。

未経験職種への転職に強いDoda等のエージェントを利用すると良いでしょう。

転職エージェントは、個々人によって能力がまちまちなので、複数のエージェントに登録したうえで、より良いエージェントと密に付き合うのが良いです。

コールセンター

ホテルのフロントで磨いた傾聴力や、会話のスキルを活かせるのがコールセンターの仕事です。

コールセンターは勤務時間が決められており、日勤のみのコールセンターを選べば、ほぼ定時通りに帰宅することが可能です。

また、アポイント取得等の能動的な営業電話をかけるコールセンターであれば、成果次第では時給換算で2,000円前後の収入を得られる職場もあります。

派遣社員として働くのであれば派遣のお仕事探しはジョブリンク、正社員志望であればDoda等を利用すると、様々なコールセンターを見つけることができます。

医療機関・美容クリニックの受付

受付の仕事は、ホテルで培った接客スキルが活かせるうえ、定時で帰りやすい仕事であるため、元ホテルフロント従業員が働いているケースが多いです。

その中でも、医療機関・美容クリニックの受付は、受付の仕事の中でも収入が比較的高かったり(年収300万円~450万円程度)、非正規ではなく正社員を採用しているケースが多いです。

医療機関・美容クリニックは、事業として高収益になりやすい業態であるため、受付従業員の待遇も良くしやすいのです。

ただ、受付とはいって接客だけが仕事となっているケースは少なく、事務作業や簡単な会計業務も仕事の一部であることが殆どであるため、ホテルに勤めているうちにエクセル等のスキルは身に付けておくと良いでしょう。

不動産営業

不動産営業は、激務ですが未経験者を広く受け入れており、努力すれば数年で年収1,000万円以上も目指せる夢のある業界です。

不動産営業の仕事は、不動産に関する知識や経験は当然大きな武器となりますが、それ以外も人の話をしっかりと聞いてニーズを把握する力、老若男女様々なお客様に好かれる人柄、仕事に対する誠実・真面目な態度等、ホテル経験者が持つヒューマンスキルも重要な要素です。

年収をもっと上げたい、自分の力で稼ぎたい、対人スキルには自信がある、という方はチャレンジしてみてください。

より詳しい仕事内容が知りたい方は、未経験・未資格の方でも応募できる不動産業界の求人を取りそろえる【宅建Jobエージェント】に登録してみましょう。

公務員

ホテルのフロントから公務員に転職することもできます。
公務員は年齢制限はあるものの、過去の仕事経験を問わない、試験にさえ通れば採用される職種が多数あります。

公務員試験の勉強は大変ですが、勉強が得意で時間のやりくりさえ付けば、民間企業よりも安定度の高い仕事につけるチャンスがあるのです。

ホテルフロントを辞めて転職活動する際の志望動機の考え方

転職活動における悩みどころのひとつが、志望動機です。
人間関係が嫌だった、仕事に飽きた。。。等々、正直に言えない内容が本当の志望動機になっている人も多いのではないでしょうか。

志望動機は、以下のポイントに注意して記載するのが良いでしょう。

ネガティブな内容はあっても良い

志望動機にネガティブな内容が含まれていること自体は、問題ではありません。
たまに転職情報サイト等で、「志望動機にネガティブな内容は含まない様にしましょう」と指南していることがあります。

しかし、ネガティブな事が一切無いのに転職を考えるという事は現実的ではなく、採用担当者もその事は分かっています。

仕事は責任を持って取り組んでいたことを伝えたうえで、「深夜勤務が体に合わなかった」「現職のホテルは収入が低く、もっと収入を伸ばせる仕事をしたかった」等の転職理由は、素直に伝えても問題ありませんし、その方が自然です。

ただし、仕事に飽きたのが本当の志望動機だった場合、それをそのまま伝えるのはあまりにもストレートすぎるので、「ホテルのフロントは完璧にこなせる様になったので、経験を活かして異業種(職種)にチャレンジしたい」等とポジティブな方向に変える必要はあります。

「人間関係が嫌だった」も、「より自由に意見を提案しあえる環境に移りたい」等、仕事に前向きな姿勢が伝わる内容に変更しましょう。

自分を雇うメリットを盛り込む

転職活動は、「自分を雇うとあなたの会社にこんなメリットがありますよ」という内容を伝える、一種の営業活動です。
志望動機には、単なる自分の願望だけではなく、募集する会社で自分がいかに活躍したいのか、できるのかが伝わる内容を盛り込むべきです。

ホテルの業務を深く理解している人を募集している会社であれば、自分がフロントの仕事を通してホテルの業務にいかに詳しくなったか、それを転職先の会社でどの様に活かしたいかを、志望動機に含めます。

自社商品の問い合わせ対応をするコールセンターの社員を募集している会社であれば、自分がどの様にゲストの問い合わせを簡潔・丁寧に対応してきたか、その経験で培ったスキルをコールセンターでいかに発揮したいかを伝えられる様にします。

志望動機の中には、自分のウリを盛り込みましょう。

ホテルのフロントから未経験業種への転職で、理想のワークスタイルを手に入れた事例

さてここからは、ホテルのフロントから異業種への転職で、理想のワークスタイルを手に入れたKさん(女性)の事例をお伝えします。

尚、本事例はホテルビジネス編集部がKさんに話を聞いたうえで作成していますが、個人が特定されない様、話のポイントをおさえたうえで、若干の脚色を加えています。

Kさんは、22歳で大学を卒業後、関西のホテルに就職し、フロントとして働いていました。

もともと観光業界に興味のあったKさんは、憧れのホテルに就職できた嬉しさもあり、予約対応、チェックイン・アウト業務、OTAやPMSの事務作業など、幅広い業務を精力的にこなしていましたが、昼夜逆転の生活に悩んでいました。

学生時代から交際していた恋人ともすれ違うことが多くなり、会えない日が長く続くこともありました。

ホテルに就職してから数年後のある日、もともと体がそこまで強くなかったKさんは体調を崩してしまい、1か月程度の病欠をせざるを得なくなってしまいました。

まとまった休みの中で、Kさんはキャリアとプライベートを改めて考え直し、自身の体調の改善とプライベートの充実を図れる職場への転職を決意しました。

転職を思い立ったKさんは、関西の地元で働けるワークライフバランスの良い、安定した職場を求め、各種転職エージェントや転職サイトを通して転職活動を始めました。

ホテルで培った電話・接客対応と、基本的なPCスキルをアピールしたKさんは、数社の選考の後、地元の大手美容クリニックの受付兼事務の正社員として採用されました。

ほぼ定時上がりの安定した職場を手に入れたKさんは、終業後に友人や恋人とのプライベートの時間も確保できる様になり、転職の結果に満足しています。

転職に備えやっておくべきこと

ホテルのフロントから転職する場合、有効なスキルや経験を身に付けておくと、より多くの仕事が選択肢となるうえ、良い条件の仕事につける可能性が高くなります。

エクセル

ホテルのフロントから転職する場合、営業職・受付&事務等の仕事も候補になりますが、これらの仕事ではエクセルが不可欠です。

単に入力ができるだけでなく、使える関数やマクロの種類が多いと、転職におけるアピールにもなるうえ、転職後の仕事もよりスムーズになります。

ホテルのフロントで利用する専門のシステムだけではなく、エクセルを使う仕事にもぜひ慣れておきましょう。

英語

英語ができると、待遇の良い外資系企業への転職も視野に入ります。
ホテル業界においても、外資系ホテルは日系ホテルに比べ給料が高い傾向にあり、最近では地方都市にも外資系ホテルが進出しているケースもあるので、ホテル業界内の転職も検討している人は、是非とも身に付けましょう。

もちろんホテルだけではなく、メーカーや商社等でも英語を使う部署はあり、英語を使える人は希少性が高いです。

今回は、ホテルのフロントからの転職について解説しました。
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