コロナ禍が日本で始まってから早くも約1年が経ちました。
日本に空前のインバウンドブームが訪れていたことが遠い過去の様に感じられますが、コロナの予防・治療法が確立されれば、インバウンドは必ず戻ってきます。
今回は、インバウンド獲得に必要不可欠な、3つの海外OTA(Booking.com, Agoda, Expedia)の集客力を訪日国別に比較します。
日本を訪れた各国外国人のOTA別の利用者数は、明確なデータがありません。しかし、Google トレンドを利用すると、3つの海外OTAが検索される頻度の傾向が国ごとに分かるため、おおよその集客力を把握できます。
残念ながら中国は、Google 検索が規制されているため、データが取れません。ただ、中国に関してはTrip.com の集客力が強いことは想像に難くありませんね。
JNTOの調査によると、インバウンドが全盛であった2019年の訪日外国人数を国別にランキングすると、以下の通りになります。
中国 | 9,594,394 |
韓国 | 5,584,597 |
台湾 | 4,890,602 |
香港 | 2,290,792 |
米国 | 1,723,861 |
タイ | 1,318,977 |
中国を除くと、韓国、台湾、香港、米国、タイの順番となります。これらの国々を対象に、Google トレンドで3つの海外OTAの検索傾向を見てみましょう。
まずは、韓国からです。以下の図は、2019年1月6日から1年間の、各OTAの検索人気度の推移です。

青のAgodaと、黄色のExpediaが拮抗しており、赤のBooking.comは2つに比べやや検索が少ない傾向にあります。2019年の平均を見ると、3つのOTAの検索人気度は以下の通りでした。
OTA | 検索人気度 |
Agoda | 41 |
Booking.com | 14 |
Expedia | 38 |
人気度を比べると、AgodaとExpediaがほぼ同程度、Booking.comは両者の3分の1程度でした。
このスコアが、韓国の訪日客の集客に占める各海外OTAのシェアと完全に一致するわけではありませんが、おおよその傾向は掴めると思います。
韓国のゲストを集客するためには、Agoda, Expediaに重きを置くのが有効と考えられます。
同様に、香港、台湾、米国、タイも見ていきましょう。以下は香港のデータです。

香港は、アゴダとエクスペディアがほぼ同水準である点は韓国と同様ですが、Booking.comの検索が少ないことが分かります。次は台湾です。

台湾は一目瞭然で、Agodaが圧倒的です。Expedia, Booking.comと大差が付いています。傾向が大き変わるのが、以下の米国です。

米国は、Expediaが圧倒的です。Expediaは、米国で創業されシェアを伸ばし続けてきたOTAなので、さすがはお膝元の国といったところでしょう。
逆に、韓国、香港、台湾で優勢となっていたAgodaは、Booking.comより人気度が低いです。最後にタイです。

Agodaはタイに本社を置いており、タイではシェアNo.1のOTAです。国内も、海外もAgodaを使う人が多く、検索人気度も最も高いです。
以上より、訪日客の多いアジア圏のゲストにとっては、Agodaが最も使われているOTAであり、次いでExpediaが多く、米国では圧倒的にExpediaが強いことが分かります。
したがって、インバウンドが回復してきた際は、自ホテルのゲストの国籍を把握しつつ、この2つのOTAに力を注ぐのが効率的と言えるのではないでしょうか。
インバウンドがいつ戻るか、まだまだ先は見えませんが、復活の兆しが見えた時は、こちらの記事を参考にしていただければと思います。
更にインバウンド集客について理解を深めたい方は、ホテルのインバウンド対策を解説しますも併せてご覧下さい。
ホテルや旅館の売上・利益アップに役立つメディア「ホテルビジネス」の編集部です。旅行業界、不動産業界、金融業界等の様々なバックグラウンドを持つチームで、2020年からメディアを運営しています。
1 thought on “インバウンド集客に有効な海外OTAはどれか?~国別のOTA集客力”
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