ビジネスホテルは価格に敏感なユーザーが多く、集客数アップのためにはどうしても価格を調整せざるを得ないことが多いです。
しかし、本音を言えばできるだけ単価は下げずに集客を強化したいですよね。
そこで今回は、大きなコスト負担が無くとも実践できる、ビジネスホテルの集客方法をご紹介致します。
目次
ビジネスホテル集客はリーチ数×転換率で決まる
集客数を単純化すると、以下の様になります。ビジネスホテル予約を検討しているゲストへの、
リーチ数×予約転換率×1予約あたりの人数=集客数
となるのです。ビジネスユースの1名利用が多いビジネスホテルの場合は、1予約あたりの人数を大幅に増やすことが難しいので、リーチ数と転換率をいかに上げるかが集客のポイントになります。
リーチ数を最大化する
リーチを増やすためには、販路を増やすことが最も手っ取り早いです。
国内OTAであれば、じゃらん、楽天トラベル、一休は確実に導入しましょう。
更に、最近では海外OTAを使ってビジネスホテルを予約する方も増えているので、Booking.com、Agoda、Expediaも登録すべきです。
日本のゲストが中心なので、国内OTAだけで十分、というホテルもありますが、ホテルによっては国内OTA偏重は得策ではありません。
国内OTAはホテルの費用を使う広告商品が数多く存在し、それらの広告に多くの費用を投下できるホテルが、上位表示される傾向にあります。
一方、海外OTAの日本人ゲスト集客はメタサーチからの集客に依る部分が大きいため、価格が安いホテルの予約が増加する傾向にあります。
あなたのホテルが広告費を殆ど使えない、コスパ重視のホテルであれば、海外OTAも日本人ゲストの集客に役立ちます。
海外OTAも先入観を持たずに登録しましょう。
ただし、登録後の各種広告購入、販促施策等の費用は、最も多く予約を稼げるOTAに絞るべきです。
少ない予算を薄く広く投下するよりは、最も相性の良いOTAに集中投下した方が、予約数増→表示順位アップ→予約数増の好循環に乗せやすいです。
Googleマップからのリーチを増やすことも、ビジネスホテルにとっては重要です。Google マップは日本で最も利用されている地図アプリです。
株式会社エフェクチュアルの2021年の調査によると、「使ったことがある地図アプリ」1位は「Googleマップ」で、2019年1月の調査では81.8%だったのが、21年の調査では87.0%と5.2ポイント増加しています。
Googleマップの利用者数は増加しており、立地が特に重要なビジネスホテルの予約においては、観光客メインのホテルよりもGoogleマップが利用率が高いと考えられます。
Googleマップからのリーチを増やすには、Googleマップ検索時の表示順位を上げることが重要です。
通常のGoogle検索と同様に、Googleマップ検索にも表示順位があります。
例えば、Googleマップで「渋谷 ホテル」と入力すると、渋谷のホテルがマップ上にプロットされると同時に、ホテルリストが一覧で画面左側に表示されます。
ホテルリストの表示順位は、Googleが定めた基準により決まります。
Googleの公式ページ「Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法」によると、以下の方法が表示順位アップに有効とされています。
- 住所、電話番号、カテゴリ等の詳細なデータ入力
- 「ビジネスのオーナー確認」を行う
- 営業時間を正確に載せる
- クチコミの管理と返信を行う
- 写真を追加する
Googleマップの表示順位を上げるための施策に、積極的に取り組んでいるホテルはまだ少数であり、しっかりと取り組んだホテルの効果が出やすい状況と言えます。忘れずに取り組みましょう。
転換率を上昇させる
集客数増加のためには、転換率(リーチした潜在顧客が予約する確率)アップも不可欠です。
転換率アップのためには、以下の様な施策があります。細かな施策ですが、時間を見つけてコツコツと実行しましょう。
ネットにアップする写真の掲載数を増やす
OTA、公式ホームページ共に、写真はなるべく多く掲載しましょう。
写真が少ないと、ゲストはホテルのクオリティや雰囲気が分からず、検討の対象から外れてしまいます。
最近のビジネスホテルは朝食の品質競争が激化しており、ゲストにとっての重要度も高いため、朝食の写真は特に気を遣うべきです。
さらに、多くのOTAでは写真の掲載枚数を表示順位アップの要素としているため、写真枚数増加により転換率の上昇だけでなく、リーチ数アップも同時に狙えます。
キャンセル規約を変更し、直前まで無料キャンセルできる様に変更する
キャンセルポリシーは、できるだけ直前までキャンセル料がかからない設定にすべきです。
コロナ禍により出張の可否が出発直前まで分からないため、最近のゲストは直前までキャンセル料がかからないホテルを予約する傾向にあります。
そのため、キャンセルポリシーはできるだけ緩く、可能であればノーショー以外はキャンセル料不要なフリーキャンセルとするのが望ましいです。
キャンセルがいつでも自由にできることで、ゲストの予約に対する心理的ハードルをグッと下がり、同価格帯・同レベルのホテルの中で選ばれる可能性が上がります。
フリーキャンセルにすると、キャンセルが大幅に増えるのでは・・・と思われるかもしれませんが、直近の大幅値引き等をしていない限り、実は通常時とキャンセル率は大幅に変りません。
とあるOTAでは、フリーキャンセルを導入している施設としていない施設で、2020年8月〜2020年12月のキャンセル率を比較したところ、キャンセル率の差は1%以下だったそうです。
この方法は食事付きが前提となる温泉旅館等では当然難しいでしょう。
しかし、ビジネスホテルであればトライしてみる価値はあります。
公式ホームページにチャットボットを導入する
公式ホームページには、チャットボットを導入しましょう。
「駐車場はあるのか?」「赤ちゃん用のベッドは用意してもらえるのか?」等、旅行を検討しているゲストによってホテルを予約する前に確認したいことはありますが、公式ホームページ上で確認したい情報を見つけられるとは限りません。
ホテルに直接電話をするゲストもいますが、電話が苦手、わざわざ電話をするのは面倒、等の理由でホームページを離脱するケースも多いです。
チャットボットを公式ホームページの分かりやすい場所に設置しておけば、ゲストが確認したい情報をその場で提供することができるため、予約前のホームページ離脱を防ぐことが可能です。
新プランを導入する
需要が高まっている新しいプランを導入することも、転換率を高める施策になります。
以下では、おすすめのプランをご紹介します。
デイユースプラン
デイユース、つまり日帰りのプランを導入します。
ここで重要なのは、単にデイユースを導入するだけではなく、どんなターゲットに向け、何を提供するのか、というコンセプトを考えたうえで、それが伝わる訴求を公式HPやOTAで行うことです。
例えば、ビジネスマン向けにテレワークのスペースとしてデイユースを訴求するとします。
ビジネスマンであれば、安定したWifi環境や広めのデスクは必須となりますので、OTAや公式ホームページでそれらを確実に伝えましょう。
可能であれば、仕事終わりに一杯飲みたい人もいるでしょうから、ビール一杯無料サービスを付けても良いかもしれません。
大浴場のある施設であれば、仕事中のリフレッシュとして、広々としたお風呂を訴求するのも効果があります。
カップル向けにデイユースを提供するのであれば、女性が喜ぶおしゃれなシャンプー等のアメニティを揃えたうえで、カップル専用プラン等の料金プランを新たに作るのも良いでしょう。
ビジネスマンの利用を想定してデイユースを導入したが、蓋を開けてみればカップルの利用ばかりだった・・・というホテルも多くあります。
ラブホテルより安いビジネスホテルも増えている今のマーケットでは、従来はラブホテルに行っていたカップルの需要を取り込むチャンスです。
長期連泊プラン
2〜3連泊の割安プランは、多くのホテルで用意されているかと思いますが、4連泊以上のプランを用意することで、テレワーク利用者や、自主隔離が必要な方々等の予約に繋げられます。
テレワークのための連泊では、20連泊を一気に予約するゲストもいます。
また、日本に入国する技能実習生が、自主隔離等で団体で予約する際は、複数人数が2週間程度連泊するため、まとまった部屋数の販売が期待できます。
テレワーク、自主隔離共に、需要の絶対数は大きくありませんが、長期連泊の予約が入れば稼働率の底上げが期待できます。トライしてみましょう。
アメニティ無しプラン
かなり大胆ですが、思い切ってアメニティを無くしてしまい(もしくは有料)、その分客室料金を下げる、という施策も効果があります。
さすがにシティホテルでは、アメニティを無くすわけにはいきませんが、価格志向のゲストが多いビジネスホテルでは、検討可能でしょう。
アメニティを無くす、といってもバスタオル等は残しておき、カミソリ、ハンドタオル、くし等の全てのゲストが使うとは限らない物を無くします。
特にアゴダ等の海外サイトやメタサーチ経由で予約するゲストは、価格志向の傾向が強いため、アメニティ無し×低料金 は良い集客ドライバーになるでしょう。
長時間滞在可能プラン
通常のチェックイン・チェックアウト時間を超えて、長く滞在できるプランです。
最近では、「24時間滞在プラン」等を販売している施設が多くなってきました。
翌日ゆっくり滞在できる金曜日宿泊の観光客や、小さな子供がいて準備に時間がかかるファミリーから需要があります。
稼働率が低い状況であれば、一部の客室を長時間滞在専用することで毎日清掃が入れないとしても、販売機会損失にはなりません。
クオカード付きプラン
昔から出張ビジネスマンに人気のあるプランで、宿泊時にクオカードをゲストに渡します。
例えば、7,000円でプランを販売し、ゲストには1,000円のクオカードを渡すとします。
ホテルの利益は7,000円-1,000円=6,000円となります。
一方、ゲストは7,000円の宿泊代金で領収書を受け取り、1,000円のクオカードを受け取ります。
ゲストは、会社には7,000円の領収書を提出することで7,000円を回収し、1,000円のクオカードを自分のポケットにしまう事ができます。
ホテルからすれば、6,000円の部屋を売ったことと変わりませんが、ゲストからすれば1,000円儲かるわけです。
このプランは、どのホテルでも簡単に販売できてしまうため、周りのホテルが一斉にこれをやってしまうと効果がありませんが、もしも周りに取り入れているホテルが無ければ、試してみるのも良いでしょう。
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